オランダから移入された低水治水のみでは
オランダから移入された低水治水のみでは、洪水被害を抑えるのが困難であることが次第に判明したため、1896年(明治29)に制定された河川法は、洪水時の河水を河道内に押しとどめ、一刻も早く海へ流下させることを原則とし、水系一貫方式の治水を採用した。以後、河道を直線化し高い堤防をめぐらし(高水治水)、放水路で河水を海へ流下しやすくする河川事業が主流となり、大河津分水の開削、新淀川放水路の建設、石狩川短絡事業といった大規模な河川治水事業が19世紀末 - 20世紀前期に相次いで実施された。昭和期に入ると、アメリカのテネシー川流域開発事業の影響を受け、河川総合開発事業に基づく多目的ダム・治水ダムの建設が始まった。
第二次世界大戦直後の10数年間は、カスリーン台風などの大水害が立て続けに発生し、国民経済に少なからぬ影響を与えたが、並行して行われてきた治水事業の効果によって、1970年代以降、大規模な水災害は著しく減少した。そうした中で、1980年代頃から洪水防止に傾倒しすぎた河川づくりや自然環境に一定の負荷を与えるダム建設に対する批判的な意見が出され始め、一方、大都市圏への過度な集中に伴う、都市水害の増加が新たな治水の課題として浮上した。1990年代からは、近自然的な治水工法が導入されるとともに、ハード(構造物)だけに頼らないソフト面での治水対策も次第に重視されつつある。同時に、都市における治水対策が急速に進展するなど、日本の治水は新たな局面を迎えようとしている。
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水害・土砂災害(総称して水災害と呼ぶ)による被害(水災被害)は、次の3つの要素から構成される。
被害ポテンシャル
水災害によって被害を受ける対象物の量・金額。例えば、河川の氾濫原に住宅地が形成されると、被害ポテンシャルは高まる。
外力規模
水が人間生活圏へ与える力の大きさ。雨量、河川流量、水位などの指標で表される。治水容量
河川や遊水池の流下能力・収容能力。